2011年2月24日木曜日

漢方薬の危うさ(※鵜呑みするべからず)

長年漢方薬飲んでます。
ずっとお世話になっている薬剤師さんから、行くたびにいろいろ教えてもらいながら、ようやく自分の体調に合わせて飲めるくらいの知識になりました。

ちょっと事情があって、いつものところではなく、近場のところに行ってみました。薬膳カフェや中医学セミナーなど主催しているような、大手のところです。

私の体質や状態を把握するところまでは良かったのですが、残念なことに、処方を選択する段階が正しくなかったようです。私の最近起きた症状には合っているように「見える」処方ですが、漢方薬というのは「1+1=2」では決してありません。

この症状に合う生薬とあの症状に合う生薬が入っているから、という理由で選んだとしか思えないものだったのですが、その場では「おかしいな」とは思っても、まったく初めての薬だったのと、まさかそれほど合わないものが出てくるとも思っていなかったので、買って帰ってしまいました。



結果、合わなくて腸が炎症を起こしてしまって、病院へ行って一週間の服薬。


いままで、多少合わなかったことはありますが、ここまで悪化したことはありません。
体力もがた落ち。


色々調べた結果、恐らく本当に知識のある人であれば、私の状態には使わないであろう処方でした。

私に出されたのは「抑肝散加陳皮半夏」というものです。
「抑肝散」はストレスなどによるイライラなどがひどいときに使うようなイメージです。
「加」というのは、この場合であれば「抑肝散」に「加味」しているという意味で、「陳皮半夏」は陳皮と半夏を使っているということですね。だいたい、そんな感じです。

この薬には柴胡が使われています。
数年前に副作用とかで話題になった柴胡。
この生薬は「燥」、「かわかす」作用があるので、「滋潤剤」、「うるおす」作用のある薬と一緒に使わなければならないようです。

「抑肝散」より「抑肝散加陳皮半夏」のほうが、柴胡の割合が低く、また、陳皮と半夏という胃腸のための生薬が追加されています。
「抑肝散加陳皮半夏」は、「抑肝散」を服用するような症状が長く続いたがために、胃腸の調子も落としてしまったような人に効く薬であろうと思われました。



で、私ですが。
確かにストレスがかかるような状況にはなってましたけど、もともとストレスでイライラが強く出るほうではありません。

元々「脾虚」で、たくさん食べられませんし、食べ過ぎると胃が痛くなって逆効果な感じです。こういう体質はおなかが空いてないときには食べなくてもいいくらいなんだそうです。ストレスがかかると余計に胃の調子は悪くなるし、便秘がちになります。


最近の状態は「気血両虚」といって、「気」と「血」が足りません。貧血気味なのは(中医学でいう「血」は血という意味よりたぶんもう少し広いと思うけど)ここ数年の傾向で、胃腸の調子を落としていればそりゃ血も作れないよね、ということです。


疲れやすい、動悸が起こる、もう少し体力を蓄えたい、という主訴だったはずなんですが、ここ2年ほどはメニエール様の症状(めまい、耳鳴り)で服薬しているなども一応言っておいたのが悪影響だったようですね。
主訴からすれば、「補気」「補血」薬の処方になると思われました。ですが、これに「利水」(体の中の余分な水分を出すようなこと)を加える必要があります。メニエール様の症状は「水毒」(体の中に余分な水分がたまって悪さをするような感じ)から来ていると思われているので、これを考慮して欲しかったのです。


「抑肝散加陳皮半夏」の生薬を並べただけの効果は「補気」「補血」「利水」「熄風」という感じです。
ぱっと見、私に合っているように見えます。担当者は「お客様に合う薬は一種類しかありません」といって出してきました。


問題はこの薬が「熄風剤」だということかもしれません。
これは体の「気」の巡りを良くする(正常な状態に持って行く?)、かつ、舞い上がったような状態の「気」を抑えるようなものと思われます。
ストレスでイライラ、という症状は「気の巡りが滞った」状態と見られます。
ですから、「気の巡り」を良くする処方を使う。それで、「かわかす」作用があるので、「補剤」も入っているわけです。


私は「気血両虚」。
足りないのに巡らされたわけです。
そりゃ、消耗に消耗を重ねるわけですね。


「補中益気湯」も、「抑肝散加陳皮半夏」と似たような生薬ばかり入ってますが、その割合が違うのです。
柴胡はかなり少なめ。「補気」の薬が大量に入っています。
ですが、これだけでは「補血」のほうができないので、「補血」剤は別の処方などを合わせる。そして、利水についても対応する。

これが私に合う処方のようでした。


つまり、漢方薬の「処方」ひとつだけで対応しようとして間違えたようです。
漢方には「合方」というのもあって、2つ以上の処方を同時に服用することもあります。もちろん、これはきちんと中医学を勉強した人でないと出せないものもあります。「1+1=2」ではなく、3になったりマイナスになることもあるからです。


以前聞いた話だと、「十全大補湯」というのも、2つないし3つの処方の合方だそうです。



はぁ、勉強に疲れちゃいました。
やっぱり、ちゃんとしたところで処方してもらおう…。
二度とあの大手チェーンには行かないですね。怖くて(笑)。
新卒でも社内の研修で「漢方アドバイザー」なるものになれるらしいですよ。で、ああいう中途半端な人が量産されているかと思うと、そんじょそこらでは相談できない。


そうそう。
電話がそこの担当者から来ました。
どうですか、と。
で、事情を説明したら、「じゃあ、もう漢方薬はやめるんですね?」とか言う(苦笑)。
違う処方で続けます、と答えたんですが、たぶんあの人には伝わらなかっただろうと思います。
残りの薬は、来店したら希望の処方に交換してくれるらしいんですが、本当に怖くて行けない(笑)


ということで、有名店だからといってうかつに行ってはいけないということと、漢方薬の処方の難しさを体感したというお話でした。


なお、この文中の説明等、素人のお勉強程度ですから間違っているところもあるかと思います。まさかこれを鵜呑みにするような人もいないと思いますけど、ね。念の為。


中医学の知識

某有名店が危ない
という話も

信じる信じないは ご自分の責任で お願いします!(^^)

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